このページの最終更新:19th Oct 2002

リードの寿命

リードは消耗品だけど

クラリネットを吹くものにとって、リードは様々な意味で重要です。 それは、音を創りだす源であるがためでしょう。
ところで、私達は漠然とですが「リードは消耗品である」と考えています。 ゆえに、頻繁に楽器屋へ行ってはリードを購入しているのですが、では 1枚のリードはどのくらいもつものなのでしょう。
これは、奏者一人一人によって答えが大きく変わってくるでしょう。たとえば 練習の頻度や密度、演奏する曲のジャンル、吹き方、環境、使用するリードの枚数 などといった条件が異なれば、早くダメになったり長持ちしたり、という差が出る 可能性は充分あります。同じ鉛筆でも、すぐ使い切る人と いつまでも同じ鉛筆を 使っている(ように思えてしまう)人がいるのと似ています。

しかし、リードは鉛筆とは違う面ももっています。鉛筆の場合、その消耗は 誰の目にも明らかです。どんどん短くなって最終的にはサックを使っても 持てなくなれば、それ以上使うことは誰にもできません。これに対して リードの場合は、見た目に分からない変化によって使用不能になることが あります。極端な場合、購入直後のように見えるリードでも「使用不能 (ハズレ、ではない)」として廃棄するしかない、ということもありえます。
形が変わっていないのに使えない、というのは心情的に非常にもったいない 感じがします。一方で、実はとっくに寿命がきているのに、形が変化しないために 気づかずにそのまま無理矢理使いつづけてしまう、という可能性もあります。

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明らかに使えなくなるとは限らない

では、リードの寿命、あるいは使えなくなる場面を考えてみましょう。
まず誰もが納得できるのは、物理的に破損した場合です。たとえばティップが 欠けた、裂けた、極端には折れた、などというのもあるかもしれません。 いずれにしても、本来のリードの形を失った場合、基本的にはもう使うことは できないと考えることができます。もちろん破損の状態によっては、 リードカッターやトリマーを駆使して、また使えるようにできる可能性も ありますが、それは非常に稀なケースでしょう。

つぎに、リードを長く使い込んだ場合を考えてみましょう。この場合、リードの変化には 大きくいって2つあります。ひとつは、リードの反発力が失われた時です。シャツを 何度も洗って着続けると、そのうち袖口や襟元が緩んできます。そしてそれがひどくなると シャツの原形はとどめているものの、衣類として使うには向いていない状態に なってしまいます。これは、繰り返し着ることや選択することで、シャツの繊維が 弱ってしまうのが原因です。リードもこれと同じで、長いあいだ繰り返し練習や演奏に 使っているうちに、リードの繊維が弱って適当な振動を生み出せなくなってしまいます。
もうひとつは、リードの汚れです。ちょうど唇の当たるあたりが、時間の経過とともに 少しずつ黒ずんできます。日頃から手入れをしていても、やはり長いうちにはある程度 黒くなってしまいます。実際の演奏への影響よりも、汚れていることによる心理的な 影響で「もう使えない」と判断することがあります。
これらの場合、人によって許容される限界が異なります。したがって、ある人は問題ないと 思っていても、別の人には完全にアウト、ということもあります。つまり、使えなくなった ということがはっきりと見えないのです。

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限界の判断を確実に

さて、リードを寿命の限界を超えて使いつづけるとどうなるのでしょうか。
先に述べた 物理的に壊れてしまったリードの場合、音が鳴らない場合がほとんどですから、 演奏できないことになってしまいます。たまに、破損が小さかったりリードが裂けている 場合などに、そのまま音がなってふけてしまう場合もありますが、よく観察してみると 小さな高い音の雑音が混ざっていたり、音の立ち上がりが不安定になったり、スクリームが 頻発するようになってきます。これらはいずれも、演奏に大きな影響を投げかけてきます。
リードの繊維がへたってしまった場合も、音色が貧弱になったり、音が薄く広がったようになったり、 出だしで音が爆発しやすくなったりします。繊維の弾力が失われたことで、息の圧力との バランスが崩れてしまったのが原因なので、これをアンブシュアや息の使い方で フォローしてしまうと、普通のリードを吹く本来の吹き方が崩れてしまいます。

リードの汚れは、上のような状態ほど演奏に影響しないことが多いようです。それでも もちろん、リードの状態を変化させているのは同じですから、なんらかの影響が出る場合も あります。
それよりも、汚れていることが心理的に影響を与えることが多いようです。すなわち、 汚れがひどいのは使いすぎたからだ、とか、汚れが不潔だからもう使えない、といった 具合です。実際には丁寧に洗えば全く問題ないことも多いのですが、やはり一度「汚い」と 思ってしまうと、吹いてても気分が乗らない、といったことになってしまいます。

このように、リードの寿命を無視すると悪影響があちこちに出てくる可能性があります。 リードの変化はゆっくりなので(破損を除く)、常に気をつけていないと、大事なサインを みすみす見逃してしまうことにもなりかねません。ずいぶん前から使っているリードが あるときは、特に注意してみることも必要かもしれません。

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