このページの最終更新:2nd Jan 1999

キイ構造学概論

キイの基本運動

クラリネットには、いくつものキイが取り付けられています。そしてそれらは、 お互いに連携を保って動作しています。その様子を理解するために、まずはキイの 一番単純な役割・運動から考えていきましょう。

キイの基本運動 キイの役割は、人間の指だけでは届かない場所のトーンホールをふさぐことと、 人間の指では不可能な連動をこなすことがあります。いずれにしても、 人間が触っていない状態と、触っている状態があります。キイをよく観察してみると、 人間が触っていない状態でトーンホールが開いているものと、ふさがれているものに 分けることができることに気づきます。これは、キイの押さえるところと、タンポが 付いているところの位置関係で決まります。
具体的な関係は、図を参照して下さい。

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キイの連動(1)

キイの運動が、単純に1対1で対応しているだけなら、さほど難しいことはありません。 しかし、音域を広げたり、半音階をより正しい音程で実現するためには、複数のキイを うまく組み合わせて連動させる必要があります。まずは、簡単な例から見てみます。
キイの基本連携 はじめの例は、一カ所のキイを押すことで複数のタンポをふさぐものです。 トーンホールを分散させることで音程や響きを安定させる事ができます。 クラリネットの場合、上下管のトーンホールに付いたリングキイがこれに当たります。 特に、下管のリングによって上管のタンポが動くようになっているので、 これを使って Ds/As を替え指で吹くことができます。
これとは逆に、複数の場所を押さえて同じタンポを操作するものもあります。 一見何の意味もなさそうな感じもしますが、同じ指で複数のキイを扱う場合、 こうすることでキイの上を指を滑らさなくてすみます。クラリネットの両手小指で扱う キイ群がそのいい例です。

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キイの連動(2)

キイの連携 さらに複雑な構造を採用すれば、キイの組み合わせで必要なタンポだけが操作できるように 選択性をもたせることも可能です。その中で単純な例は、上管の十字キーです。
このキイは、Gs の時はサイドのタンポしか動きませんが、G の時は、別に Gs を操作 しなくても、自動的にサイドのタンポも動きます。それは簡単に言えば、G キイが Gs キイの 下に潜り込んで、Gs キイを持ち上げるようになっているのです。
これをさらに複雑に応用したのが下管の小指関係のキイで、右手小指で扱う4個のキイのうち、 右上のものから伸びた足によって、必要な動きが得られるようになっています。

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大事なキイだから

ここで見てきたキイは、クラリネットの心臓部です。その連携が微妙なものなので、 調整がしやすいように、キイ本体は比較的柔らかい金属でできています。これはひっくり返せば、 少しの衝撃で調整が狂ってしまうということなのです。そのことを肝に銘じて、 楽器は丁寧に扱わなければいけません。それと同時に、キイの構造を正しく理解すれば、 楽器にできるだけ影響を与えない方法も考えることができますし、万が一調整がおかしく なったときに応急処置をすることも可能になります。楽器と仲良くするためにも、 キイ構造の正しい知識を持っておいた方がいいでしょう。

最後に、クラリネットのキイの分類図を載せておきます。
キイ分類図

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