このページの最終更新:1st Nov 1998

気温とピッチの相関性

クラリネットの振動

気温が低いとピッチは低くなります。逆に、気温が高ければ ピッチは高くなってしまいます。クラ吹きには当たり前のことですが、 その原理について理論的に考えてみます。

クラリネットの振動 まず、音の原理についてみてみます。音は本来は疎密波なのですが、 視覚的にわかりやすいので左の絵のように表現します。
クラリネットは、この絵のように片方の端が閉じた管の中にできる音波と同じ音波ができます。 どうしてそうなるのかは、こちらを参照して下さい。 本当はもっと細かい波も同時にできるのですが、ここでは一番低い波だけ検討します。
このときの波の長さ(=波長)は、管の長さの四倍です。Bbのクラリネットの場合、 管の長さが理論値で64cmですから、波長は256cmです。
さて、この波長は管の長さを変えない限り変わりません。 なのにピッチが変わってしまう原因は何でしょうか。その理由は、 音の速さ(音速)に関係があります。

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気温と音速

音の速さは、気温によって大きく変化します。その公式は、音速をa、気温を摂氏T度、 係数をkとして、次のように表されます。
a=k*(t+273.15)0.5

地球上の空気の場合、係数k=20ですから、気温と音速の関係は次の表のようになります。

気温(℃)音速(m/sec)
5333.5
15339.4
25345.3
35351.1

そもそも音のピッチは、波長ではなく音波の周波数によって決まります。
上で出した音の波長d=256cmと、音速aを使って、周波数fは次の公式で 求めることができます。
f=a/d=(k*(t+273.15)0.5)/d

この計算結果を上の表に加えると、下のようになります。

気温(℃)音速(m/sec)周波数(Hz)
5333.5130.3
15339.4132.6
25345.3134.9
35351.1137.1

ちなみに、Bbクラリネットの最低音であるD=146.83(Hz)、その半音下の Des=138.59(Hz)、さらに半音下のC=130.67(Hz)です。
クラリネットの最低音は、構造的な問題と、倍音のAのピッチを 優先する関係上、理論値はかなり低くなってしまいます。
ですが、気温がどれだけピッチに影響するかは明らかです。

同じことを、マウスピースとタルだけの状態で検討します。 このときの理論波長は48cmです。

気温(℃)音速(m/sec)周波数(Hz)
5333.5694.7
15339.4707.0
25345.3719.8
35351.1731.5

ちなみに、このときの近傍のFis=740.00(Hz)、その半音下の F=698.45(Hz)です。

実際には、いずれの場合も呼気の温度が5℃ということはありえないので、 ピッチの変化はここまでひどくなることはまずありません。でも、 ここで考察したように、気温が低いということは大きく影響を及ぼすことが分かります。 ですから、寒いときは演奏の合間に息を通すなどして、保温につとめる必要があります。

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