このページの最終更新:1st Nov 1998

リードによる音の発生原理

リードの振動の謎

息と振動 楽器を吹く時に、私たちはあまり深く考えることなく息を吹き込んで音を鳴らしています。
でも、少し考えてみると、これは意外と不思議な現象なのです。
普通、息を吐くとその流れは一定です。もちろん、故意に息の早さや太さを 変える事は可能ですが、楽器を吹く場合はそんな事はまずしません。息はまっすぐに 吹きこむものといわれますし、実際そういうふうにします。
それに、音の振動数は、どんなに少なくとも1秒間に50回以上、多いと1000回以上はあるので、 それを息の流れで再現するのは人間には不可能です。

ところが、音というのは空気の振動です。振動という事は、 時間の経過によって状態が変化している事に他なりません。
これをグラフで表すと、左の様になります。赤が息の流れ、青が音の波の流れです。 なぜ、まっすぐな流れが波打った流れに変化するのでしょうか。

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リードの振動がもたらすもの

リードは、息の流れを受けると振動します。
なぜ振動するのかはとりあえず置いておきます。リードが振動しているという事実は、 低い音を吹きながら、舌をリードにごく軽く触れてみると実感できます。 舌に「ビビビ」という感じが伝わって来るはずです。

リードが振動すると、リードとマウスピースの間にできる隙間の幅が変化します。 その変化する量は数字的には1ミリ以下ですが、開いている面積の割合でいうと、 リードが静止している状態から50%以上変化します。
口が狭くなれば、当然息は流れにくくなります。口が開けば、息は流れやすくなります。 こうして、息のまっすぐな流れが、音の波打った流れに変化するのです。

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クラリネットの管内の振動

クラリネットの振動 クラリネットの構造を見てみます。見れば明らかですが、ベルの方は開管です。
一方、マウスピースの方はリードがふたをするような形になっていますから、閉管です。 現実には完全な閉管にはならないのですが、基本的に完全と見て差し支えはないようです。
ですから、クラリネットの管の中にできる振動は、一端開管・他端閉管の音波となり、左のような波になります。 この形の場合、倍音は3倍・5倍という奇数倍音しか存在しません。
ですから、クラリネットの倍音は12度(オクターブ+5度)になっているのです。

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リードが震えるわけ

リードの様子 では、リードが震えるわけを考えてみましょう。
左の絵は、リードとマウスピースの断面図です。息を吹きこむと、 だいたい矢印のような空気の流れができます。
リードの内側は、楽器に吹きこむ息の流れにさらされます。一方でリードの外側は、 空気には触れていますが、口の中の空気はほとんど静止しています。 つまり、外側の空気は動いていません。
このとき、それぞれの面の気圧を考えてみます。
外側は、空気が静止している事からも明らかですが、1気圧です。 もしそれより低ければ脣は外の空気に押しつぶされますし、 逆に高ければ、風船のようにふくらんでしまいます。
一方、内側はといえば、空気が流れているため1気圧にはなりません。 気体の圧力はエネルギーの一種なのですが、運動という形に エネルギーの一部が変化してしまうため、流れている気体の 圧力は1気圧より低くなります。これを「ベルヌーイの定理」といいます。
すると、リードの外側と内側で気圧の差ができます。その差によってリードは 内側へ押されます。

この原理は、飛行機が飛ぶのと同じ原理です。飛行機の場合も、翼の上面と下面で 空気の速度が違うため、圧力差ができ、その力で浮き上がるのです。理屈はリードも一緒なのです。
すると、今度はリードとマウスピースの間が狭くなって、息が入る流れが遅くなり、 内側の気圧が少し戻ります。
また、リードには反発力があって、曲げられると元に戻ろうとする力が生じます。この結果、 リードはもとに戻るのですが、勢いあまって反対側まで曲がってしまいます。
そうなると、またリードの反発力や、今度は口の開きが大きくなった事で 差が大きくなった気圧差でもとに戻ります。
これを繰り返す事で、振動が発生するのです。このような振動を自励振動といいます。

クラリネットの音の根源は、この自励振動にあったのです。

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