このページの最終更新:7th Apr 1999

楽器のつぶやき

あたしは常に妹と僕は飾りじゃない / 私を抱きしめないで / 出番のない私

私を抱きしめないで

私は、楽器に住んでいるキイの一人です。みなさんご存じかとは思いますが、 下管の一番下のトーンホールをふさぐキイでございます。私は誰かさんと違って、 普段からよく演奏に参加させていただいています。特に、みなさんの指の動きと トーンホールをふさぐタンポの動きを伝える役として、クラリネットに住んでいる キイの中でも、とりわけ重要な仕事をしていると自負しております。

そんな私ですが、一つ困ったことがあるのです。ご覧になればすぐにわかりますが、 私の体はその大部分が空中に浮いた1本の棒です。もちろん両端にキイポストがいて、 楽器本体にくっついているのですが、真ん中の部分は宙ぶらりんなのです。もちろん、 私の仕事を果たすためには、真ん中を支えてもらう必要もありませんし、あちこち 支えられてしまったら、かえって動きにくくて迷惑です。
でも、私に限らず「棒」というものは、への字に曲げる方向の力には非常に弱いんです。 ちょっとぶつけられたりでもしたら、たちまち折れ曲がってしまいます。もし そんなことになれば、私は動くことができませんし、みなさんだって困るでしょう。
もちろん、どこかにぶつかることもあります。でも私たちに一番多いけがは、楽器を組み立てたり 片づけたりするときに抱きしめられる時に起きるんです。そうです。楽器がうまく ばらせないからといって握りしめられると、私たちは少しずつ曲がってしまうのです。

みなさんにお願いします。本当に私たちのことを大事に思ってくださるのなら、 抱きしめないでください。そうしていただけることで、私たちも元気に働くことができますし、 みなさんも幸せになれると思うのです。

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