のページの最終更新:24th Jun 1999

楽器のつぶやき

あたしは常に妹と / 僕は飾りじゃない / 私を抱きしめないで出番のない私

僕は飾りじゃない

僕は、楽器本体のはしについている、金属のリングです。ごくまれに僕がいない こともありますが、たいていの場合は楽器のつなぎ目のところに僕がいて、 楽器のフォルムを引き締める役を果たします。
僕は、キイと同じ銀メッキをしているので、見た目にもちろんきれいです。 でも、僕は単に楽器の飾りとしているんじゃないんです。もしかしたら皆さん 誤解してるんじゃないですか?僕がここにいるのは、もちろん見た目のことも あるけれど、本当はもっと大事な役目を果たしているんです。

皆さんは、クラリネットのずっとずっと昔の祖先を見たことがありますか? 初期のクラリネットは、今のようなグラナディアではなく、ツゲやカエデなどの 木でできていました。ファゴットは今もそうですね、確か。これらの木材は、 加工するととてもきれいな木目を出すことができますが、残念ながら水分や 気温の変化に弱く、すぐ割れてしまうという欠点があります。特に、管が薄くなる クラリネットの場合、その問題は顕著でした。そこで、当時の楽器工房の 職人さん達が、もっとも弱い断面部分に象牙のリングをはめて補強したのです。
時代がくだって、グラナディアを使うようになっても、やはり断面部分は弱かったので、 リングは形を変えて残りました。現在の楽器では、管体に塗る塗料などが 進歩したので、仮に僕がいなくても特に問題はないレベルにまでなっています。 でも、やはり楽器にとって、断面部分はウイークポイントであるので、いまでも 僕が守っているのです。一部の楽器の、ジョイント内側に金属を被せているのも、 考え方は一緒なんだ。

今度楽器を組み立てるときに、ちょっと僕のことを気にしてもらえたら嬉しいな。 気づかないところで、大事な仕事をしてるんだから。

このページのはじめへ戻る

あたしは常に妹と / 僕は飾りじゃない / 私を抱きしめないで出番のない私