このページの最終更新:9th Dec 2002

削るという言葉にだまされない

リードを削るというけれど

私達はよく「リードが厚いときは削ればいい」などといいます。そして、紙やすりを 持ち出して一生懸命ゴシゴシと削ったりします。
でも、ちょっと待ってください。本当に「削る」という表現が正しいのでしょうか。

リード以外の分野で「削る」という言葉がどんな作業を指しているのかを、すこし 考えてみましょう。たとえば、私達は「鉛筆を削る」といいます。このときの「削る」の 意味は「(刃物・やすりなどで)物の表面をそぎ取る」(大辞林第二版より)という ものです。その結果、削られたものが大きく変形することは容易に予想できます。
ところが、リードを削るといっても鉛筆のように形状が大きく変わることはありません。 このことから「リードを削る」というときの「削る」という言葉は、一般的に使っている 意味とは、少し違う部分を含んでいるようです。

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目的は"TRIM"のはず

楽器屋さんへ行くと、リードの調整用に紙やすりを売っています。やすりというと どうしてもゴシゴシと削りたくなってしまいますが、上でも述べたように、普段の 削るという言葉の意味とは切り離して考える必要があります。このとき ひとつ参考になるのは、楽器店で売っている紙やすりの商品名です。YAMAHAは、この 紙やすりに"REED TRIM PAPER"という名前をつけています。直訳すれば「リード調整紙」 といったところです。

私達がリードを削るのは、そのほとんどがリードのバランスが悪いか、全体に 強すぎる(固すぎる・厚すぎる)ときです。その作業はまさに「リードの調整」です。 調整であれば、どのような道具を使ったとしても、リードの形が変わってしまうほど 加工する必要はほとんどないといってよいでしょう。なぜなら、リードの調整とは 物理的な厚さや繊維の集まり方の違い、あるいは奏者の癖との相性によって生じる 微妙なバランスの狂いを補う作業であり、そのほとんどは条件のいずれかを ほんの少し変えるだけでバランスは大きく変わってしまうからです。

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文字通り削ることもあるけれど

もちろん、鉛筆を削るのと全く同じ意味でリードを削ることもあります。それは ケーンの原木からリードを作る場合です。この場合は鉛筆と同じように大量の 削りかすもできますし、原木とリードでは見た目も大きく変わります。 このときは紙やすりだけではできませんから、リードナイフなどを使います。 ですから、やっている作業そのものも、鉛筆を削るのとだいぶ似通っています。

しかし、楽器店で売られているリードに限っていえば、削るという言葉の持っている イメージどおりに作業をすると、取り返しのつかないことになってしまうことが 多いのです。その理由は先に述べたとおりです。
もしリードを削ることがあったら、こんなことも考えて、今まで以上に慎重に 作業をしてみれば、具合のよいリードも多くなるかもしれませんね。

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