このページの最終更新:14th Aug 1999

『リードミス』考

ピキャッという原因

みなさんは、クラリネットを吹いているときに突然高い音が鳴る現象は よくご存じだと思います。演奏会でこれが出ようものなら、音楽の雰囲気は大きく 損なわれるし、第一吹いている本人の気分が良くありません。特にクラリネットの場合、 この音が非常に高くよく通るだけに、影響は大きいでしょう。
このピキャッという音の起こる原因は、技術研の 記事でもふれていますが、リードに破損部分があったり、曲がってついていたりすると リードの振動が不安定になって、その結果意図しない高音が出てしまうのです。

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それは本当にリードのせいなのか

ところで、私たちはこのピキャッという音を「リードミス」と呼んでいます。 普段そんなことには拘らないとは思いますが、ここでちょっと考えてみてください。
もう一度ピキャッとなる原因を思い出してみると、リードミスは本当にリードのせいなのか、 という疑問が出てきませんか。たとえばリードの先端をゆがんで付けたり、リードの中心を ずらしてつけるのは奏者自身であって、言い換えれば奏者がみずからピキャッとなる 原因を生み出しているのです。また、奏法や構え方が不適切であることも、とくに リードが悪いからということではありません。また、リードの破損も、楽器を準備するときの チェックが甘かったという意味では、奏者にも責任があるといえます。

ここで強調したいのは「リードミス」と呼ばれているにもかかわらず、その原因の大半は リード自身にはないということなのです。すなわち、「リードミス」は「リード」の「ミス」 なのではなく、あくまでも奏者の側に原因があって起こるトラブルなのです。
そのことを表すかのように、英語圏には「リードミス」という言葉はありません。 英語圏ではピキャッということを「スクリーム(金切り声・悲鳴、というような意味)」 と呼んでいます。

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なぜそんな呼び方になったのか

では、なぜ日本では「リードミス」という呼び方が定着したのでしょうか。 クラリネットが日本に入ってきた頃の状況は、あまり確かではありませんから このころの詳しい事情は残念ながらいっさい分かりません。しかし、古い教則本などで リードミスとしてこの現象に関する記述があり、それが一般的に定着したのではないかと 思われます。ただし、現在のところこれは仮説にすぎず、根拠はありません。
このページでなぜここまで「リードミス」という言葉に拘っているのかといえば、 その理由は「『リードミス』という言葉で、奏者の失敗や責任を紛らわしている」 ような気がするからです。もちろん、ほとんどの人はピキャッという事態を回避すべく 普段の練習から気を使っているとは思いますが、この言葉で自分を正当化したり 逃げることのないよう、改めて「リードミス」について考えてみてはどうでしょうか。

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