このページの最終更新:20th Aug 2002

音楽的に見たコンクール論


賞から離れて考えてみよう

コンクールといえば、たとえば「金賞が取れた、取れなかった」とか 「代表になれた、なれなかった」ということに目がいきがちです。もちろん、 自分達の演奏を審査員が評価した結果が賞という形で示されるのですから、 それを気にするのはある意味自然な成り行きではあります。しかし、賞を 気にする気持ちが過度に大きくなると、演奏をするという本来の目的が、 賞を獲得するための手段にすりかわってしまうこともよくあります。
このように、良くも悪くもコンクールを特徴づけている「賞」ですが、ここでは あえて、その「賞」から離れた視点から、コンクールの特徴を見てみようと思います。

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同じ曲をいろんな団体がするということ

コンクールというステージには、いくつかの条件が課せられています。そのうち コンクール独特の条件は、課題曲があることではないしょうか。
まず、課題曲について簡単に説明しておくと、これは毎年4曲程度の曲が 課題曲として設定され、そのうちの1曲を必ず演奏する、というものです。 曲はその年によって、コンサートマーチが集中して出されることがありますが、 それらを含んでも、どちらかといえばクラシック系、あるいはオリジナル系の 曲がほとんどで、いわゆるポップス系の曲はほとんどないようです。 なお、公平を期するため、課題曲は原則として未発表の曲になります。

さて、コンクールに参加する団体が無数にあるのに、課題曲が数曲しか ありませんから、当然ながら多くの団体が同じ曲を発表することになります。 課題曲の難易度に片寄りが出た場合などには、特にある曲に集中することも あったりします。とにかく、自分達の演奏する曲を他の団体も演奏する、と いうことに変わりはありません。
もちろん、偶然にも複数の団体が、同じ時期の別の演奏会で、同じ曲を 演奏することもあります。でもそれは、かなりのレアケースであると言って かまわないと思います。そう考えると、コンクールのようなケースは、 非常に特殊ながらとても貴重なチャンスとも言い換えることができそうです。

よく自分達と同じ課題曲を選んだ他団体の演奏を聴いて「勝った」「負けた」 などといったりします。でも、もっと音楽的な面から比較するとどうなるでしょう。
たとえばテンポひとつをとっても、楽譜には同じ指示があるにも関わらず その早さには多少の差があるでしょう。特にテンポの変わり目は、指揮者や バンドの好みや性格などが如実に現れやすく、非常に個性的になりがちです。 テンポのほかにも、強弱や音色のまとめ方など、同じ楽譜でも音楽の解釈が 異なることで、色々な要素が大きく変わってきます。その違いを見つけ出し、 ひとつずつ吟味できるのは、コンクールの課題曲ならでは、と言えそうです。

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少ない曲をみっちり仕上げるということ

コンクールでは「課題曲と自由曲を1曲ずつ、あわせて2曲を12分以内に演奏する」 というルールがあります。ですから、コンクールに向けた練習では、課題曲と 自由曲の2曲を延々と練習することになります。
これは、他の場面ではなかなか考えられないことです。たとえば、演奏会を開く 場合を考えると、少なくても4曲くらいは演奏するでしょうし、場合によっては 10曲近く演奏することもあるでしょう。ある程度の曲数がないと、演奏会の 形がつくりにくいからですが、当然すべての曲を練習しなければなりませんから 非常に大変ですし、それぞれの曲を詰めるといっても時間的な限界があります。

ところが、コンクールでは2曲に集中して練習をすることができます。これは一方で 飽きを招く原因ともなってしまいますが、基本的には1曲に充分な時間をかけて 仕上げることができる貴重な機会だと思います。音楽の基本要素であるリズムや ハーモニーはもちろんのこと、細かいフレーズひとつひとつの音楽的な表現まで 時間をかけて考えることができるはずです。普段なら「時間がない」という理由で やむを得ず放置したり、みんなで議論せず指揮者の考えで統一したりすることも あったりしますが、コンクールの条件下ではとことん時間をかけて検討することも 充分可能なはずです。

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自分達のステップアップのために

こうやって考えてみると、コンクールは非常に特殊な演奏会のスタイルながら、 いや特殊なスタイルだからこそ、普通の演奏会にはない特徴があることが わかってきます。それは必ずしも良いことばかりとは限りません。しかし、 コンクールは特殊なスタイルであるということを意識していれば、その特殊さを 自分達のために活かすことも不可能ではないと思います。
どんな団体であっても、音楽をしている目的のひとつは「自分達の表現をしたい」 ということではないかと思います。コンクールの賞のために自分達の やりたいことを曲げるのではなく、コンクールを踏み台にしてさらにステップアップ できるような方法を考えてみるのはどうでしょうか。

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