このページの最終更新:21th Nov 2002

リードでみるピッグサイクル


ピッグサイクルとは

皆さんは、ピッグサイクルという言葉を聞いたことがあるでしょうか。経済のことを 少し勉強すると、経済上の現象の一例としてよく紹介されています。具体的には こんなことがもとになっています。

まず、農家が豚を育てて出荷しているとします。ある年に豚が高値で売れ、農家の儲けが 大きかったとします。このとき、農家は「もっとたくさんの豚を育てて売れば、来年は もっと儲かるに違いない」と思い、今年よりたくさんの豚を育てます。
ところが、豚が育って出荷できるようになるまでにはおよそ1年かかります(現実には そうとは限りませんが)。新しく買った豚が出荷できるようになるころには、同じように 考えたたくさんの農家がたくさんの豚を出荷することになってしまいます。そうなれば 豚が余ってしまい、豚の値段が大きく下がってしまいます。これを見て農家は「もう豚では 儲けることはできない」と思い、豚の飼育をやめる人も出てくるでしょう。
するとその次の年には、豚の数が大きく減り、豚が不足して値段が上がります。それをみて 「豚をたくさん育てれば儲かるに違いない」と、また豚をたくさん飼育します。このような サイクルで、豚の値段がある周期を持って大きく変動します。このような現象をピッグサイクルと いいます。

ピッグサイクルが成立するには、いくつかの条件があります。定価のついた工業製品では このようなサイクルはまずおきません。また定価のないものでも、カイワレ大根やモヤシのように 生産開始から収穫までの期間が極端に短いものも、価格変動に対して生産量を柔軟に調整できるので、 大きな変動は起こりにくいのです。
逆の条件の時には、変動が起こりやすいといえます。豚などの家畜のほかにも、果樹類や 材木でも起こりえます。ただ、そのサイクルは必ずしも1年とは限らず、ものによっては数十年単位の サイクルとなり、他の条件のせいでよく分からなくなってしまうこともあるようです。

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身近なところにあるピッグサイクル

最近では、事前の需要予測をより正確にできるようになったり、保存方法の向上で供給量を 平準化できるようになってきているため、価格の極端な変動という、本来のピッグサイクルは あまりみられません。それでも、生鮮品の端境期と旬の価格差のような、供給量の変動から起こる 価格変化はあります。また、価格以外の面でこのサイクルと似たような原理の現象が 起こることがあります。

それは、価格ではなく供給量あるいは在庫量の変動が大きく変動する現象です。皆さんは ある特定のゲームなどが大人気になって、あちこち探してもなかなか手に入らない、という 経験をしたことがありませんか? そんな風に探しても見つからないのに、しばらくたつと どこにでも店頭に大量に並んでいたりします。
これは、はじめ少量しか生産していなかったのに、人気があって売れると分かったので、儲けるために 大量生産をしたところ需要量以上に作りすぎてしまった、という要素と、はじめは人気があったけど そのうち飽きてしまって売れなくなった、という要素が混ざっています。このうち前者は、 ピッグサイクルを1回だけ再現したような状態といえるでしょう。

私達にもっと身近なところでも、似たようなことが起こっています。それは、リードの お店での在庫です。特に有名ないくつかのブランドのリードでは、在庫が比較的豊かにある時期と 全く手に入らない時期が、ある周期で繰り返されているような印象を受けます。これも、 同じような現象とみることができます。といっても、先に挙げた例とは少し違う要素も 含んでいるようです。

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リードの場合の特徴

まず、リードの場合は人気が急になくなるとか、逆にいきなり大人気になるということは 少なく、基本的にはいつも同じような需要があるといえます。細かく言えば、季節によって ニーズが少しずつ変化していると思われますが、ここではあまり注意しなくても大丈夫でしょう。
つぎに、リードは急な大増産ができない、という点があります。これは、原材料となる葦が 加工可能に成長するまで3〜4年かかるということもありますし、葦の生産地がごく一部に 限られている、という事もあります。ですから、いくらメーカーがリードをたくさん作りたくても 作れない、ということになります。

したがって、リードで起こっているピッグサイクルは、こんな感じになるのでしょう。
まず、リードをみんなが購入した結果、在庫がなくなってしまいます。メーカーはリードを 作りたいけれども、材料がないので作ることができず、品切れの状態が続きます。ある時期に 葦が収穫されると、それを使ってたくさんのリードが生産され、お店に入ります。すると リードは豊富に在庫した状態が続きます。
もし、その在庫が次の製品出荷までもてば、特に問題はないのですが、実際には供給量以上に 人気があるので、また全部売れてしまって在庫がない…という繰り返しなのでしょう。

確かに、自分が必要な時にリードがないと困ります。でも、ただないという現象だけを見て 嘆くだけではなく、その背景にまで思いを巡らせることができれば、どこか難しい 経済理論の一端がこんなところに出ているんだ、などと新しい発見があるかもしれませんね。

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