このページの最終更新:28th Apr 2002

アンブシュアのトラブル

問題意識をもち方 / 症状別の考え方

問題意識のもち方

アンブシュアを意識しないで!

クラリネットを吹く際にマウスピースを口でくわえる訳なのですが、 その時の口の形をアンブシュアと呼んでいるのは皆さん御存じと思います。で、 よく講習会とか個人レッスンに行くと「もう少しアンブシュアを直したほうが いい」とかいわれて、色々助言をもらう事もあると思います。
でも、その助言を鵜呑みにしてはいつまでたっても上達しないのは意識して いますか。そして、そういう助言が時として重大な結果を招く事を知って いますか。

ちゃんと基礎のできているクラリネット奏者がいたとします。しかもその人は 練習熱心で、最近特に目に見えて上達していたとします。その人を潰すためには どうしたらいいでしょうか(本当はこんな事しちゃだめですが)。
色々方法はありますが(をい)、一番簡単かつ確実なのは「そのアンブシュアでは そのうち駄目になるよ」といい続ける事です。たとえそれが本当であれ嘘であれ、 その奏者はまず間違いなく駄目になります。

さて、どうしてそんな事になってしまうのでしょうか。実は、アンブシュアを いじるというのは両刃の剣であるというところがポイントなのです。少し試して みれば分かりますが、クラリネットはほんの少しアンブシュアを変えるだけで、 音が出なくなったりスカになったりします。それを無理にいじったりすれば、 今まで微妙なバランスの上になんとか成り立っていたものが崩れてしまうのです。 そして悪化した状態を戻そうとしてさらにいじってしまうのでどんどん状態は 悪くなるのです。

ですから、よっぽどの理由がない限りアンブシュアを変える必要はないと 思います。そのよっぽどの理由として考えられるのは「まだきちんとした アンブシュアができていない」「音がならなくなってもうどうしようもない」 「今の音は明らかにクラリネットの音ではない」ぐらいだと思います。
要するに、いくら偉いクラリネットの先生がアンブシュアについて何か助言を したとしても、気にする必要はないのです。

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初心者のアンブシュア

初めてクラリネットを吹く人を指導する時に一番頭を悩ませる事のひとつが、 アンブシュアをどう説明するかです。専門用語が使えないだけでなく、僕たちが 長い間かかって経験的に得た事を言葉にするのは簡単ではありません。

一番手っ取り早いのは、誰かが横について身ぶり手ぶりで教える方法です。 何だかんだと口で説明するよりも、実際に同じ様にやってみるのが一番だと 思います。そのとき気をつけないといけないのは、音が出ていて、鳴り方が そんなに悪くなかったら無理にアンブシュアをいじらないようにすることです。
よく「上の歯はマウスピースの先端から何ミリ、下の歯は唇を何ミリ巻き込んで リードの先端から何ミリ」といった様に何もかも数字で表そうとしている書物を 見かけますが、そんなのはナンセンスです。だいたい、人の唇の様子なんて それこそ十人十色なのに、それをたったひとつの値で表そうというのは、古い時代の 型にはめる教育となんら変わらないのです。
極端にいえば、きれいな音が出るのであれば鼻で楽器を吹いても構わないのです (ちょっと怖いけど)。ただ、目安としてはそういう数字もあったほうが いいので、一概に駄目、とはいえません。

もうひとつ、はじめの頃は、いい音を長く吹くよりも、多少変な音だったり 短い音でもいいから、大きな音を出すように指示したほうがいいようです。 それは、大きな音を出すという事に集中する事で、自然に音が鳴りやすい状態を 作りだしているのではないかと僕は想像するのですが、よく分かりません。
ただ、下手に「いい音を出すように」といってしまうと、クラリネットのいい音を 知っていれば自分の音との落差で自信を無くすし、知らなかったらどうしたら いいか分からなくて途方に暮れる、という状況はできると思うので、 注意がいると思います。

それと、初心者は唇の周りの筋肉(表情筋だろうか?)が楽器を吹くことに 対応できていないので、すぐにへばってしまいます。それでも吹こうとすれば、 音は鳴ることは鳴るのですが、筋肉がへばっているので思うようにコントロール できず、せっかくクラリネットの音のだし方に慣れてきたのがぐちゃぐちゃに なってしまう事もあります。
疲れてくれば音に張りがなくなってくるし、音に揺れや音色のむらが出てきます。 そういう変化を素早く察知して休みを取る様にする事が、指導者に課せられた 義務のひとつだと思います。

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問題意識をもち方 / 症状別の考え方