このページの最終更新:31st Mar 2002

姿勢と運指の関係

姿勢が悪いと何が困るのか

よく「楽器を吹くときにはよい姿勢で」といいます。確かに、猫背であったり 訳もなく体が傾いていると、見た目も格好がよくありませんし、いい影響が あるようには感じません。では、姿勢が悪いと、何が問題になるのでしょうか。

一般的によく言われるのは、ブレスに対する影響です。息をたくさん吸い込むのに 不適当な状態であれば、息が足らなくなって、音が保てなくなります。 人間の呼吸には、胸郭のあたりから下腹部までの筋肉を使用するので、この付近が 自由に動けなければ、呼吸が阻害されるのですから、当然といえば当然です。
しかし実は、他にも悪影響を及ぼしうる部分があります。それが、姿勢が 指回しに与える影響なのです。

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指の筋肉

皆さんは、指を動かすための筋肉がどこにあるかご存知ですか?人間の体では 多くの筋肉が、動かす関節のすぐそばについています。指の場合も同じように、 指のそばについているのかといえば、実はそうではありません。指を動かす筋肉は、 手首からひじにかけての、腕についているのです。

このことを実感できる、簡単な実験があります。
まず、腕(左右どちらでも構いません)を、手のひらが下になるように、まっすぐ 前に伸ばします。次に、反対の手で手首とひじのちょうど中間あたりを、下から 持ちます。この状態で伸ばしたほうの指を握ったり開いたりすると、それにあわせて 筋肉が伸びたり縮んだりしているのを感じることができます。

このように、指を動かす筋肉は腕についていて、筋肉の先から腱が伸びて指の骨を 動かしています。これは、指に筋肉をつけてしまうと、膨らんだ筋肉で指の動きが 大きく制限されてしまうことや、100kgに及ぶ握力を発揮するには、指の周りだけでは 充分な筋肉をつけることができないからだといわれています。

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運指のためのよい姿勢

では、指を動かす筋肉が腕についていることと、指回しと、姿勢の間にどんな関係が あるのでしょうか。たとえば先ほどの実験で、手で持つ代わりに強靭なコルセットを はめてしまえば、筋肉が縮んだときに膨らむことができませんから、指を曲げるのが 非常に困難になるであろうことが予測できます。まさか楽器を吹くときにコルセットを はめる人はいないと思いますが、それとよく似たことをやってしまっている人を 時々見かけます。
たとえば、脇を思い切り締めて、さらに楽器を目一杯からだの方にひきつける感じで クラリネットを構えてみてください。腕全体が窮屈な感じになって、非常にしんどいと 思いますがどうでしょう。こんな極端な構え方をしている人はまずいませんが、同じような 事をしてしまっている、すなわち腕のあたりが窮屈になるような構え方をしている人は、 あなたの周りにもいるのではないでしょうか。こんな状態で楽器を吹くと、とりあえずは 何とかなりますが、素早い指の動きが妨害されやすいので、指が回りにくい一因にも なってしまいます。

よく「楽器を構えるときには、ゆったりと楽に構えるほうがよい」といいます。 これは、奏者がリラックスして楽器を吹くためにも大事なことですが、そのほかにも、 指の動きに対する影響という観点からも、理にかなったコメントだといえます。 一度、自分の姿勢を、こんな観点から見つめてみてはどうでしょうか。

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