このページの最終更新:29th Jun 2005

楽器がなくても練習を

本当に楽器がないとできないの?

私たちは、クラリネットを練習するというと、まずは ロングトーンや 音階練習などの基礎練習、教則本などによる技巧練習、合奏に向けた 個人練習・パート練習・セクション練習などを思い浮かべるでしょう。 これらの練習に共通していえることは、いずれも楽器を使うということです。 楽器の練習をしようというのだから、当然ともいえます。
しかし、楽器がないから、あるいは楽器を鳴らすことができないからといって、 何もできない訳ではありません。たとえば「指だけ練の 効用と限界」で紹介したように、指の動きを追いかけて確認するとか、 「楽譜を読む」で紹介したような、楽譜の確認も 有効です。

ほかに、楽器の演奏に直接結び付けられるようなことはできないでしょうか。 音楽の基本要素といえる、メロディ・リズム・ハーモニーのうち、前者 二つについて、少し考えてみることにしましょう。

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アカペラで歌ってみよう

皆さんは、アカペラをご存知でしょうか。何人かのグループで、声だけで さまざまな音楽を演奏します。たいていは、メロディ・ハーモニー・ベース・ ボイスパーカッション などを組み合わせています。これを、私たちも やってみるのです。
とはいっても、使うのは自分たちが普段楽器で演奏している楽譜です。歌詞は ありませんから、曲想にあわせて「アアア〜」「ラララ〜」などを相談して 決めればよいでしょう。また、楽器のほうが音域が広い場合が多いですから、 無理をしないでオクターブ移しましょう。その結果1stが3rdより低くなるかも しれませんが、それは目をつぶりましょう(そもそも男性が1st、女性が2ndの 時点で逆転してしまいますから)。

実際に歌ってみて、どうですか? よくあるのは、ほかのパートに惑わされて 気が付いたら自分のパートの音がわからなくなってしまうパターンです。 特に、メロディに対するハーモニーのパートの場合、気が付いたらメロディに なっていた、などということもあるでしょう。
これは何を意味するのでしょうか。それは、自分の歌う(=吹く)べきメロディが 把握できていない、歌うべき音が狙えていない、ということです。アカペラや コーラスの演奏を見ていればすぐわかりますが、ほかのパートに惑わされて 自分のパートを見失う人はまずいません。それは、たとえほかの人が誘引力のある パートを歌っていても、自分が歌うべきメロディがしっかり把握できていて、 そのメロディを狙って歌っているからです。
クラリネットの場合は特に、キイさえちゃんと押さえていれば、だいたいその音が 鳴りますから、自分のメロディの一音一音を厳密に把握していなくても それっぽく吹けてしまいます。しかし、無頓着に吹いたのと、きちんと狙って 吹いたのでは、音の輪郭や表情が大きく異なります。また万が一微妙な誤差(違和感)が あっても、気づいて修正することができます。

このほかに、声に出してみることで、メロディがどういう風につながっているのかを 意識しやすくなります。したがって、どこでブレスをすれば自然なのか、どんな 抑揚をつければ効果的なのか、といったことを研究したり、奏者間での意思統一を 図りたいときなどに有効でしょう。

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歩きながら歌ってみよう

今度は、リズムについて考えてみましょう。
気分よく歩いているとき、なんとなく鼻歌を歌ってみたり、何かしらのフレーズを 口ずさんでみたりしたことはないでしょうか。これらは、半ば無意識のうちに 行われていることですが、これを意識してやってみましょう。
人間が歩くとき、そのテンポは一歩が四分音符で108〜128くらいの範囲にあるといいます。 運動会などの行進曲は、四分音符120で演奏しますよね? いまは、厳密なテンポを とることが目的ではありませんので、120でも118でもいいでしょう。また、曲のほうも 多少の差は目をつぶって構いません。あるいは倍・半分で考えると都合のいい場合も あります。
では、そのテンポで歩きながら歌ってみましょう。そのとき、歌と歩きが 無関係では歩きながら歌う意味がありませんから、歩くテンポと歌の拍を あわせることを常に意識してください。

さて、どうですか? なんとなく歌いにくかったり、脚の動きと歌が合わなかったり したところはありませんでしたか? 実はそれが、テンポが無意識に揺れ、リズムが 狂いやすくなっているポイントなのです。人間の歩行は、体格上のアンバランスが あったり、片手に重い荷物を持った場合などを除いて、通常は右足も左足も ほぼ同じテンポで踏み出しています。ですから、歩きのテンポと歌があわないと いうことは、一定のテンポと歌が合わないことになります。
同じことは、メトロノームを使っても確認できるはずですが、自分の体に直接 リズムが発生する歩行のほうが、微妙なずれによる違和感を感じやすいのです。
詳細に観察していくと、ただ歌いにくいだけではなく、たとえば「いままで ほかのパートが遅いと思っていたが実は自分が突っ込みすぎていた」といったことを 発見できることもあります。そこまで細かく見つけられなくても、自分の演奏が 実はあちこちでテンポが揺れている、ということを発見できるだけでも、それを 常に意識の端においておくことで、充分な効果が期待できます。

このように、楽器がなくてもできることはあります。このほかにもいくらでも あるでしょう。「楽器がふけないから」と言い訳にするのではなく、普段できない 違った面からの自分のチェックをしてみるのも良いのではないでしょうか。

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