このページの最終更新:16th Dec 2001

音階練習の目的意識

なぜ音階練習をするのか

皆さんは、基礎練習と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。よく挙げられるのは、ロングトーン、 スケール、タンギング、ダイナミクス、エチュードなどでしょうか。さて、皆さんが挙げた 基礎練習の中に、音階練習、あるいはスケールは入っていたでしょうか。そして、それは何番目に 出てきたでしょうか。
多くの場合、一番目がロングトーンで、その次ぐらいに出てきたのではないでしょうか。つまり それだけ、みんなが練習として大事であるということを理解していることになります。では、 何の為に音階練習をするのでしょうか。音階練習をする目的とは、一体何なのでしょうか。

音階練習が、大事なものであるということは知っていても、その練習の目的がわかりにくい、 それが音階練習の特徴ではないかといえます。ただ闇雲に練習しても、確かに技術は 向上するでしょう。でも、目的意識がはっきりしていれば、その向上の度合いは大きく変わってきます。 それでは、まず音階練習をする理由を考えてみましょう。


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音階が音楽の根幹

まず一番大事なことは、音楽が音階をもとに成り立っているということです。あたりまえの ことですが、普段あまり意識していないだけに厄介です。
私たちが普段接する音楽は、そのほとんどすべてが、なんらかの音階をベースに成り立っています。 もちろん、ベースとなった音階は、その曲の創られた年代や作曲された場所などによって、変わって くることもあります。とはいえ、クラシック、ポップス、ジャズなど、クラリネットが活躍しそうな 音楽のほとんどは、西洋の音階、すなわち長音階と短音階に拠っています。

これは、見方を変えれば、音楽は音階の変形ですべて成り立っているともいえます。音階に現れる 音の上昇、下降、長短の変化、跳躍などが、音楽の基本要素なのです。そして、臨時記号の音は 転調などで必要な場面に限ってでてくるのが、本来の姿なのです。
すなわち、音階を練習するというのは、すべての音楽の、一番基礎的な要素を練習していることに 他ならないのです。それゆえ、万人が「基礎」練習として音階練習を取り入れているのでしょう。


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平等に音を眺める

大事な点をもうひとつ挙げてみると、すべての音を使った練習ができるということがあるでしょう。
ある曲を練習すると、その曲で使われている調の音はたくさん出てきますが、その調に含まれない 臨時記号の音はどうしても登場頻度が低くなります。ご存知のとおり、音階は基本的な長音階と短音階が それぞれ12ずつありますが、臨時記号が多くつく調は、曲の中で使われる頻度は低くなります。 そうすると、やはり結果としてよく使う音と使わない音の差が出てしまいます。
これが、ピアノのようにどの音でも同じように音を出すことが容易な楽器であれば、問題は 小さいのですが、クラリネットの場合、その構造上どうしても他の音より響かせにくかったり、発音が 不明瞭になってしまう音が出てきます。普段あまり使わない音がそういう音だった場合、いざ曲中で 使ったときに、他の音との差が目立ってしまうことになります。

もちろん、特定の音階だけを練習しても、状況は変わりません。でも(長音階だけでも)すべての音階を 練習することによって、すべての音を一通り吹くことができます。そして都合のよいことに、すべての音が 鳴りにくい音階というのはほとんどなくて、たいがいは容易な音と困難な音が混ざって出てきます。
ですから、すべての音階のすべての音を、均等に響かせるように心がけて練習すれば、自分と自分の楽器は どの音が苦手なのか、そしてそれを改善するにはどうするのがいいのかが、次第にわかってくるでしょう。 それが普段から無意識にできれば、実際の演奏でも均等な音の響きが得られるはずです。

ここで挙げたのは、あくまでも一例に過ぎませんから、それ以外の目的があっても全く問題ありません。 いずれにしても、ただなんとなく音階を吹くのではなくて、はっきりとした目的意識をもつことを 一度じっくり考えてみてはどうでしょうか。

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