このページの最終更新:12th Apr 1999

基本的なリード管理術

リードの使い方 / 管理方法論

リードの使い方

リードはどんな状態で使われているのか

みなさんは、普段の練習でリードをどのように使っていますか? その人によって、頻繁にリードを交換したり、逆に一日中同じリードを使ったりと、 それこそ千差万別です。
しかし、あまり無頓着にリードを使うと、リードの寿命を縮めるようなことを 知らないうちに犯してしまっている可能性があります。せっかくいいリードに 巡り会っても、すぐに傷んでしまうようではもったいないです。

どういう使い方をすればいいか、あるいはどういう点に気をつければいいかを 考える前に、リードがどういう状態になってるかを考えてみましょう。クラリネットを 演奏しているとき、リードは激しく振動しています。リードの振動は、基本となる振動の他に 高い周波数の振動が重なって複雑に振動します。この結果、猛烈なスピードで単純な変形を 繰り返すだけでなく、ひねるような変形(ねじり)や、引き裂くような変形(剪断)を 同時に起こすことになります。これらの変形は、たいして大きくはありませんが、 その回数は尋常な数ではありません。
たとえば、Bbクラリネットでもっとも低いD(周波数約150Hz)を30秒間ロングトーンすると、 その間にリードは4500回振動します。チューニングBb(465Hz)を同様に吹くと、14000回近く 振動することになってしまいます。もし20分の曲を吹けば、その音を全部チューニングBbに 換算していいと仮定すれば、その振動回数は実に84万回にもおよびます。
このように酷使されると、どのような影響が出てくるのでしょうか。

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他の世界に見る酷使の実状

ここで、楽器を離れて他の世界をのぞいてみましょう。
まずは、簡単な実験からしてみましょう。どんな材質でもいいので、針金を一本用意しましょう。 それを10cmくらいの長さに切って、両手で持ちます。針金をへの字に曲げたり、元に戻したりを 繰り返してみましょう。何度も繰り返していると、そのうちポキンと折れてしまいます。 では、もう一本同じような針金を用意して、また曲げたり戻したりします。今度は 折れる前に曲げた部分を手で触ってみてください。どうですか?
金属に限らず、たいていのものは繰り返し変形することで強度が弱くなったり、最悪の場合 破損したりしてしまいます。この現象を疲労といいますが、特に機械部品などで この現象が原因で重大な事故になることもあります。日航機墜落事故や、もんじゅの ナトリウム漏れ事故の原因の一つに、この疲労による破壊があるといいます。
また、破壊まで至らなくても、性能が劣化してしまうこともあります。洋服などでも、 連続して着用するとすぐに生地が傷んでしまい、使い物にならなくなってしまいます。

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ローテーションのすすめ

このような現象は、連続して使う時間が長いほど影響が大きくなる傾向にあります。 針金を曲げる実験の場合、曲げる動作を間隔をあけて行っても、破壊までの曲げ回数はさほど 変化しませんが、曲げた部分の持つ熱は連続して曲げたときよりも小さくなります。 また、洋服も毎日着るのではなく何日か休ませると、生地に含まれた水分が飛び、 生地の繊維の状態が元に戻るので耐久性が増し、結果的に長持ちするようになります。
リードの場合も同じことがいえます。長い時間同じリードでクラリネットを吹き続けると、 リードの奥まで水分がしみわたり、弾力性や耐久性が失われます。リードの表面は、 しばらく置いておくとすぐに乾いて元に戻りますが、リードの芯の部分はすぐには戻りません。 弾力性や耐久性が元に戻らないうちに新たな衝撃を与えれば、その影響は大きくなってしまいます。
ここで大事なのは、リードを休ませる時間を充分にとるということです。そのためには、 いい状態のリードを常に何枚も用意して、それを順番に使う必要があります。特に 合宿のように一日中楽器を吹くような場合、ずっと同じリードを使うとそのリードは すぐにだめになってしまうことが多いのです。現実問題として、よく鳴るリードを 何枚も準備しておくのは大変ですが、こうする方がリードは長持ちしますし、万が一 本番直前にリードを破損しても慌てなくてすみます。

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