このページの最終更新:13th Jan 2003

3連符と4連符を吹き分ける

連符の微妙な違いがもたらす意味

私達が演奏する音楽は、全音符を等分した音符や休符をベースに創られています。 その等分方法もむやみに分けるのではなく、2の乗数(2のX乗、2、4、8、16、32、…) を使います。これは、人間はものを2等分するのは直感的にできるが、3等分や 5等分はあまり得意ではない、ということとも関係しているようですが、とにかく 単純で分かりやすいルールに従っているといえるでしょう。
ところが、曲によってはこの原則では表現しきれないことがあります。なにかの 音を描写するときや、普通の音符によるリズム感を壊したいときなど、わざと 拍の中に入る音の数を中途半端にすることがあります。よく見かけるのは、 1拍を3等分する3連符、5等分する5連符、2拍を3等分する2拍3連符、などでしょうか。

3連符と4連符 これらの連符は、同じ形が延々と続くことももちろんありますが、多くの場合は ある長いフレーズの中で少し表情を変えるような意味をもっています。ですから、 その違いが微妙なものといっても、音楽的な意図は大事にする必要があります。 ところが演奏を注意して聴くと、連符によるリズムの変化があまり感じられないことも 意外と多くあることに気づきます。特に左の譜例のような3連符と付点8分+16分音符の 差があまりはっきりしないことが多いようです。本来ならまん中の2つの四角のように 2対1あるいは3対1に分割しなければならないのに、3連符の長い音が長くなったり、 付点8分音符が短くなったりすることで、右の四角のように両者の差が目立たなくなって しまっているようです。ここではこの2つに的を絞って、何が大事なのかを考えてみましょう。
なお、このコラムでは「付点8分+16分音符」の形を便宜的に4連符と呼ぶことにします。

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拍を確実に等分する

連符の分解 さて、先ほどの3連符と4連符の楽譜をもう一度よく見てみましょう。それぞれの 長いほうの音を細かく分けてみると、左の楽譜の下段のようになります。元の楽譜は それぞれの音のうちのいくつかを、タイでつないだもの、と考えることができます。 元の楽譜だとリズム感があいまいになることが多くても、下の楽譜であれば 比較的正確に吹くことができます。これは、2対1あるいは3対1に分けることよりも たとえ多くても1対1に分ける方が数段容易であるからにほかなりません。
しかし実際に演奏しなければならないのは、下段のやりやすいリズムではなく 上段の厄介なほうです。最終的には上段の音符を、正確に2対1あるいは3対1に 正確に分解して吹かなくてはなりません。でもその前に下段の楽譜を 確実に吹けるように練習することによって、より確実に演奏できるように なるはずです。もちろんもとの楽譜を演奏する時であっても、もととなる 3連符や16分音符のリズムが奏者の中に存在しなければ不可能ですが。

練習の一環として連符の音を分解するのは、このような同じ音が続く時よりも リズムと共に音も変化するような時に有効です。音が変化する時には、奏者の リズム感以外にも、運指上の制約や音の出しやすさ(発音のしやすさ)による 影響が大きく現れやすいからです。連符を分解することで、フレーズがうまく 演奏できていない原因がどこにあるのかを、より見極めやすくなるでしょう。

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印象を強める荒業

最後に、3連符と4連符の違いをより強く印象付ける荒業を紹介します。
連符を寄せる 左の4つの四角形は、先にでてきた四角と考え方は同じです。左の2つは長さを正確に数えて、 正確に2対1、3対1に分けています。上下を比べると差があるのは分かります。その差は4分音符の さらに12分の1の長さで、図ではちょうど上に振った目盛りひとつぶんに相当します。 これに対して、右の二つを見てください。これも左と同じように2対1、3対1に 分割しているように見えますが、少し様子が違います。両者の差が、左の二つよりも 明らかに大きいようです。
じつは、右の四角は3連符の長い音に相当する部分を本来より小さく、付点8分音符に相当する部分を 逆に長くすることで、両者の差がより目立つように細工してあるのです。こうすれば、本来の 差よりも大きな差ができるので、そのぶんより強烈な印象を与えることになります。

とはいえ、この手法を実際の演奏に取り入れるにはさまざまな問題があります。 まず、一人だけがこれを実行すると、当然ながら他の正確に吹いている人と合いません。 そうなれば、音の出だしがずれてしまうことになり、リズム以前の問題になってきます。 ではパートごとあるいはバンド全体でやればいいかというと、それもなかなか大変です。 正確に分けるのであれば答えは一通りですから悩むこともないのですが、「どのくらいの 量をずらすのか」という1点をとってみても無数の解がありますから、意思疎通を図り 確実なものにするのにどのくらい労力がいるのか、想像もつきません。
もし使えるとすれば、ソロ奏者が伴奏などに影響を与えない範囲で、という程度では ないでしょうか。そしておそらく、ソロ奏者自身が気づかないで、無意識にしている程度 でなければ、聴き手にとっては押し付けがましく、あるいはしつこい演奏に聴こえてしまう と考えられます。そんな考え方もあるのかな、程度にしておいて、音符を正確に等分する という王道を正確に実践するのが、一番よいのではないでしょうか。

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