このページの最終更新:24th Dec 2001

13番目の音階

様々な音階

私たちは、多くの場合「音階」といわれると、いわゆる「ドレミファソラシド」の長音階を 思い浮かべます。少し深く考えると、短音階の「ラシドレミファソラ」も音階だと気づきます。
ここで出てきた長音階と短音階は、その調号でペアにして考えることができます。オクターブの中に 12の音があるので、音階のペアは12組あるということが分かります。これを私たちは「12音階」と 呼んだりします。

しかし、世の中にある音楽はこれら12音階がすべてではありません。有名なところでは 雅楽や民謡などに見られる5音音階、ドビュッシーが用いた6全音音階、ジプシーの音楽に見られる ジプシー音階などがあります。これらは、確かに音階の一種ではあるのですが、クラリネットが 活躍する曲での登場頻度は、どうしても12音階より数段低くなります。そのため、どうしても 私たちの認識はあまり高くありませんが、ある程度は仕方がないことでしょう。

ところが 私たちは、このようなマイナーな音階よりも出現頻度が高いにも関わらず、ほとんど音階として 認識していない、いわば「13番目の音階」が存在します。ここでは、その13番目の音階について 考えてみようと思います。


このページのはじめへ戻る

13番目の音階としての半音階

その13番目の音階とは一体なんでしょうか。
それは、半音が12個並んだ音階、すなわち半音階です。こういうと「半音階って音階なの?」と 思われるかもしれません。確かに考え方にもよるのですが、半音階が単一の長音階(あるいは 短音階や日本音階なども含めて)に固有のものではないことを考えると、これらから独立した ものと考えた方がよさそうです。

しかし、半音階には音階と異なる特徴がいくつかあります。
ひとつは、長調・短調の区別がないことです。あたりまえのことで、同じ間隔の半音が重なって、 それぞれの音が同じ価値をもっていますから、長調と短調を区別しようにも区別のつけようが ありません。これと同じ理由で、根音もはっきりしませんから、転調という概念も通用しません。 その結果、短音階単独で音楽を創ることはできません。ですから、半音階は必ず楽曲の中で 経過的に使われるのです。


このページのはじめへ戻る

半音階を大事にする意図

半音階がクラリネットの楽譜で出てくる場合、多くは上行形または下行形が細かい音符で 連続するスタイルになっています。その役割は曲によって様々ですが、楽譜の形だけを見ると 似通っていることが多いようです。
見かける形が似ているにも関わらず、半音階の早いパッセージを苦手とする人は多いようです。 原因は色々あると思いますが、ひとつには普段半音階を練習していないことと、半音階が 長音階や短音階とは全く別のものであるという認識がないことにあるのではないかと考えられます。 普段の練習から、意図的に半音階を組み込むことによって、これらの苦手意識の原因を 少しでも軽減できるのではないでしょうか。

また、半音階の練習をすることが12音を平等に眺めることの 助けになるといえます。もちろん、一つ一つの音に注意を払わなければ、全く意味がありません。
このほかにも、指の動きの練習としての効果もあるでしょう。ただ、いずれにしても半音階だけ 練習すればいいものではなく、他の様々な練習とバランスをとりながら、上手に組み込んでいくのが 賢い使い方になってくるでしょう。

いずれにしても、半音階は曲中でポイントとなる部分で使われる機会が多いにも関わらず、 音階としての認識が希薄で、練習のときの位置付けもあまり高いものではないことが 多いようです。ここで一度、その存在を再認識して、普段の練習にうまく取り込むことを 考えてみてはどうでしょうか。

このページのはじめへ戻る