このページの最終更新:16th Feb 2002

チューニング再考

チューニングの必要性

どこのバンドでも、合奏や演奏会の本番前にはチューニングをします。 アンサンブルの場合であっても、チューニングをしない訳にはいきません。
では、なぜチューニングをするのか、あたり前のことかもしれませんが つきつめて考えてみましょう。

一人の人がひとつの楽器(例えばクラリネット)を持って、どこかでソロで 演奏するというような、一番単純な形の演奏会ならチューニングは特に必要 ありません。なぜなら、彼(彼女)の楽器の音が世界のすべてなので、 他人と干渉する事がないからです。
ところが、ふたりでデュエットをする場合、それぞれが勝手に吹くとあちこちで 音が衝突します。それを防ぐためには、衝突しないように基準を作って、 二人がそれを守る必要があります。
その基準を守るための準備作業がチューニングなのです。ですから、少人数の 演奏なら、誰かを基準にして合わせてしまっても、なんら問題はないのです。

ところがこの方法では、大きいバンドでは基準の人がひとりでは大変だし、 他のバンドとの互換性もありません。さらに、鍵盤楽器のようにチューニング できない楽器もあるので、この方法には限界があることがすぐわかります。
そこで考え出されたのがA=440Hzや442Hzを基準のひとつとする方法です。 こうしておけば、その基準にそれぞれが合わせるだけで、音がぶつかって うなることなく演奏することができます。

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チューニングの前提

チューニングの際の基本的注意点を確認してみましょう。
まず何といっても、一番大事なのは、自然な状態でチューニングする事です。 よく、メーターの針を見ながら無理やり合わせようとする人を見かけますが、 それはかなり無駄な行為です。
というのも、メーターを見てアンブシュアを調整したり、息の流れを変化させて 合わせても、それは本来の吹き方ではないのですから、いざ合奏になればその吹き方とは 全く違った吹き方になってしまい、チューニングした通りの結果にはなりません。 同じ理由で、チューニングの時に普段と音色や吹き方が変わるのも問題です。 メーターを隠すまではしなくてもいいとは思うのですが、普段通りの音の 出し方ができるように注意を払わなくてはなりません。

ただ、場合によっては、無理に音程を合わせる行為が許されることもあります。 それは、無理をしていると認識した上で、その無理の度合いからずれ具合を 推定するような場面です。もちろんこの場合も、楽器を調整して無理なく吹いた 状態で、ピッチが適当に合うようにするのは変わりません。あくまでも、調整の 過程での話なのです。

ほかには、充分ウォーミングアップした状態でチューニングする必要があります。 最初に音を出してからしばらくの間は、時間が経つにしたがって楽器も奏者も 状態が変化していきます。ですから、時間がないからといって音出しをせずに チューニングしても、楽器や体の状態が変わってしまい、ピッチもそれに従って 変化してしまいます。

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チューニングの方法

クラリネットのチューニングの方法は、結構色々な考え方があります。 ここでは、そのうちわりあい合理的な方法を紹介します。それは、ジョイントを 複数使ってチューニングする方法です。たるの下側のジョイントのみで チューニングする方法もありますが、「チューニングの罠」 で触れているように、基準以外の音のピッチがずれてしまうことがあるので、注意が必要です。

クラリネットの場合、チューニングのために調節できるのは、バレルと上管、上管と 下管、下管とベルのジョイントの3か所です。Esクラの場合、上管と下管が一体と なっている場合もあるので、その時は2か所になります。
マウスピースとバレルの間も抜く事はできますが、練習中にスワブを通す際には ここを抜いて通すので、チューニングが狂う原因となりやすいのでやめて おくのが無難です。

これらを適当に抜き差ししてピッチがずれないようにするのですが、まずは 解放のF(何も押さえない指づかいのソ)を合わせます。このときはバレルと 上管の間を動かします。
次に、LowBb(五線の下にくるド)を合わせます。このときは上管と下管の間を 動かします。最後にチューニングBb(五線の真ん中あたりのド)を合わせます。 このときに動かすのは下管とベルの間です。ここまで来て、もう一度解放F、 LowBb、チューニングBbの順で確認します。
なぜこんな面倒な事をするのかといえば、その目的は3か所の抜く割合を調整する 事で全体の音程が整うようにするためです。例えば、ベルを抜くと、小指が関係する あたりの音は変化しますが、解放系のFやGはほとんど変化しません。ところが、 一番上を抜くと、ほとんどすべての音が下がります。しかも、その下がり方は、 音によって変わってきます。(その例は別記事を参照)
ですから、全体の音程を見ながら抜く割合を考えなくてはならないのです。 この割りあいは楽器の個性や吹き手によって少し違うので、色々試さなくては なりませんが、慣れてくるとひとつの音を吹いただけでどこをどの位抜けば いいかある程度分かるようになってきます。そうなれば、時間も短縮できて いいですね。

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