このページの最終更新:17th Jun 2002

あなたの楽器の音程は?

楽器のくせを知っておくこと

クラリネットをはじめとする管楽器は、その楽器の構造上すべての音が 標準律にあった音が自動的に鳴るようにはなっていません。これは、ピアノや ハープが、それぞれの音専用の弦(発音体)を持っているのに対して、管楽器は 同じ発音体の一部をコントロールすることで、多くの音を出すように設計されて いるからです。その結果、どうしてもいくつかの音は、本来の音から 外れた音になってしまいます。
また同じクラリネットでも、メーカーやモデルによっても音の外れ方が違いますし、 同じモデルであっても、楽器によって外れ方が違うことがよくあります。 これは、メーカーやモデルによって楽器の設計が異なることに加えて、本体の木部のように 自然の材料による材料のばらつき、加工機械の精度の限界や職人の手加工による微妙な 位置ずれなどがあるためです。

このような、楽器が個々に持っている音の外れ方や音色の特徴を、私たちはよく ひっくるめて「楽器のくせ」と呼びます。言葉としてはよく口にするのですが、 では自分の楽器はどんなくせを持っているかと問われれば、多くの人は漠然とした イメージしか分からない、というのが実情ではないでしょうか。
自分の楽器のピッチに関するくせを知っていれば、演奏中に和音を合わせるときに どういう吹き方をすればきれいなハーモニーになるかを考える、重要な手がかりに なります。また、くせがあることを常に意識しながら吹くことで、究極的には 演奏上問題ないレベルまでピッチを無意識に合わせることが可能になることもあります。
まずは、自分の楽器が持っている、ピッチのくせを調べてみましょう。

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どうやって調べるか

では、ピッチのくせはどうやって調べればいいのでしょうか。基本的には、自分の 吹いた音をチューナーで拾えば、どの音が何セント高い(あるいは低い)のか すぐに分かります。ただ、気をつけなければならない点が、いくつかあります。
ひとつは、音の吹き始めの瞬間ではなく、ある程度時間がたってからの安定したときの 音程を見るということです。音の出た瞬間は、音程が不安定になりがちです。本来は この時間をできるだけ短く、乱れ方もできるだけ小さくなるように練習しなければ なりません。ただ、いまのように楽器のピッチを知るということに注目するのであれば、 その部分を無視してしまうのも一つの回避策になります。これは、音を拾った瞬間の チューナーの不安定さを回避する意味もあります。
もうひとつは、チューナーの表示を見ながら吹かない、ということです。チューナーの 表示を見ながら吹くと、その表示が0になるように、吹き方を無意識のうちに 調整してしまうことがよくあります。楽器が本来持っている音程を知るには、このような 要素をできるだけ排除する必要があります。ですから、たとえば二人一組になって 一人が楽器を吹き、もう一人がチューナーの表示を記録する、といった工夫が必要です。 一人でするのであれば、目をつぶって吹いて、音が安定したら目を開けてその瞬間の 表示を記録する、といった対応が必要でしょう。

このようにして、一つ一つの音をチェックしてそのずれを記録していきます。 もちろんどのように記録してもかまわないのですが、クラ総研では オリジナルチェックシート(エクセルファイル31KB)を 用意しています。このシートにそれぞれの音のピッチをマークし線でつなげば、 折れ線グラフのような、一目で様子が分かる一覧表が完成します。

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くせを知ったらどうするか

さて、楽器の音程の特徴が分かっても、それだけでは何の役にも立ちません。 まずは大雑把に、どのあたりの音がどのくらいずれているのかを眺めてみましょう。 ずれが大きい音のほとんどは、特定の音がひとつだけずれているのではなく、その 近くの音も同じ方向にずれていることが多いのです。ですから、すべての音のずれを 克明に覚えていなくても「この音はこのグループだから高い(低い)はずだ」と いうことが分かれば、それで充分なのです。
このように自分の楽器のくせを把握した上で、和音を合わせるときやロングトーンを しているときに「この音は高い(低い)けどいまは合ってるかな?」と、常に気に かけるようにしましょう。できるなら、チューナーでまめにチェックすればなお 良いですが、合奏中などはそうもいきません。それでも、周りの音との溶け込み具合を 観察すれば、おおよその様子はつかめるはずです。

自分が使っている楽器のくせを知ることが、演奏技術の向上にすぐに結びつくことは まずありません。しかし、演奏する上での大きな武器になることは間違いありません。 ぜひ、時間を見つけて綿密に調べてみてください。

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