このページの最終更新:28th Aug 2003

リードのバランスをとる

リードのバランスとは

私たちが使っているリードは、表も裏も、左右対称の形をしています。 マウスピースも左右対称です。したがって、奏者がまっすぐに 楽器を構えた場合、リードやマウスピースは左右が同じように動く 必要があります。逆に言えば、左右が均等に動くように マウスピースやリードを設計し作っていると言うこともできます。

リードももちろん、左右が対象になるように作られていますが、 それにもかかわらず片側がうまく振動しないようなものが存在します。 せっかくマウスピースが対称にできていても、このようなリードでは リードの動き方が左右で異なることによって、理想的な音が 出せないことになってしまいます。これが、リードのバランスが 崩れた状態、ということができます。逆に、左右が同じように 動くリードは、左右のバランスがよいことになります。

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なぜバランスが狂うのか

ではなぜ、リードのバランスが崩れてしまうのでしょうか。
マウスピースはほとんどの場合 均質な合成樹脂でできていますが、 リードはごく一部のプラスティック製のものを除けばケーンと呼ばれる 葦でできています。葦は植物ですから、プラスティックのように均質ではなく 場所によって硬かったり柔らかかったりしますし、密度も詰まって いるところと疎になっているところができてきます。リードメーカーでは、 それを踏まえたうえで、できるだけ硬軟や粗密の少ない良質の材料を 確保し使用しています。
しかしいくら良質の材料といっても、完全に均質の材料はなく、 また残念なことに、場合によってはあまり均質ではない材料がそのまま 使われてしまうこともあります。その結果、左右を同じ厚さに削っても リードの硬軟や粗密が左右対称でないリードができてしまいます。 このままでは、微妙な抑揚や音量の変化がつけにくい、いわゆる 「バランスが悪いために鳴らしにくいリード」になってしまいます。

購入後ある程度時間の経ったリードであっても、バランスが崩れることが あります。リードは、演奏するときは適度に湿った状態になっていますが、 リードケースにしまっておくうちにだんだん乾燥します。湿った状態と 乾燥した状態を繰り返すと、その条件によってリードが歪んでくることが あります。詳細は別のコラムを参照して 頂くことにしますが、リードが左右均等に歪むとは限りませんから、 歪み方の違いの分だけ片側が動きにくくなることは充分考えられます。
その後の湿潤と乾燥の繰り返しで、歪みが改善することもありますが、 ある程度の歪みが残ってしまうこともあります。残った歪みの分だけ リードのバランスは崩れてしまうのです。

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バランスの調べ方と直し方

では、リードのバランスはどのように調べて、どのように修正すれば よいのでしょうか。まずはリードの左右バランスを調べる方法を紹介します。
方法はいくつかあります。たとえば、リードを右(または左)に ほんの少しずらして吹いてみて、どちらが吹きにくい(動きにくい)かを 比べる、というものです。また、楽器を左右に同じくらいひねった状態で 吹き比べる方法や、マウスピースを唇の端いっぱいまでずらして吹き比べる という方法もあります。いずれにしても、リードの中心からずれた場所で わざと吹くことで、リードの右(あるいは左)半分だけを吹き比べるのです。

リードの削る位置 新しいリードではなくある程度吹き鳴らしたリードであれば、 リードの動きにくい側を削れば、厚さが薄くなった分だけ動きやすくなります。 上手に調整すれば、左右の動き具合をより近づけることが可能です。
今回のようにリードのバランスを微調整する場合、左の図で緑の丸で示した 辺りをほんの少し削ってみます。実は赤丸の部分を削ったほうが、よりはっきりと リードの動きやすさが変わるのですが、慣れないと削りすぎてしまう上に、 根元の厚さに対して先端が薄くなりすぎてしまい、リード全体が バランスよく振動しなくなってしまうので、避けたほうが無難です。 いずれにしても「これじゃぜんぜん変わらないだろうな」というくらい ほんの少しだけ削って、普通に吹いて様子を見ます。リードのカッティングは 非常に繊細なので、それでも実は削りすぎであることも多いのです。間違っても トリマー(紙やすり)でごしごしこすらないようにしましょう。また、 あまり深追いし過ぎないようにすることも大切で、少し改善できたら、 それで良しとするくらいの気持ちが大切です。

このようにして、リードのどちらがわがどのくらい動きにくいかがわかれば、 リードを削ることで改善できる可能性が出てきます。といっても、リードが あまりならない原因はほかにもある可能性もありますから、だめなリードが 使えるようになったら設けもの、くらいの気持ちでチャレンジしてみては どうでしょうか。
なお、リードの調整はあくまでも自己責任で行うものです。たとえ よかったリードをつぶしてしまっても、誰も責任を負ってはくれません。 当研究所でも責任は負えません。そのことを充分理解したうえで 実行してください。

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