このページの最終更新:19th Oct 2001

リードを削る・その前に

リードが硬いなら削るの?

皆さんは、リードを削ったことがありますか? ある程度楽器を吹くことになれた人なら、 一度くらいは試したことがあるのではないでしょうか。でも、中にはしょっちゅうゴリゴリと リードを削っているような人もいるような気がします。また、今まで調子よく吹いてきた リードがある日ちょっと硬く感じるからといって、すぐに削ってしまう人もいます。
さすがに、柔らかいリードをさらに削ってしまう人はまずいませんが、少し硬いリードに 出会うと、どうしても少し削ってしまいたくなるのが人情です。でもちょっと待ってください。 本当に今の状態はリードを削るべき状態なのですか? ほかの条件によって、リードが 硬いように感じている、そういう可能性を考えたことはありますか?

じつは、リードの硬さが適当でも、ほかの条件によってリードが硬いように感じられる可能性が 意外に多くあります。それを見落としてリードを削ってしまえば、その条件がもとに戻ったとき 今度はそのリードが柔らかくなってしまい、不適当なリードになってしまいます。このような 事故を未然に防ぐためには、リードを硬く感じるのがどんなときか、知っておく必要があります。 これから、その条件について考えてみましょう。

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今まで良かったリードが硬いとき

まずは、このあいだはいいリードだったけど今日はなんだか硬いなぁ、というような場合です。

リードの取り付け位置 まず真っ先に疑われるのは、リードの取り付け位置です。左の写真は、リードをマウスピースに 取り付けたところですが、普通はリードのティップ部分がマウスピースのティップよりほんの少し 下にくるため、マウスピースのティップが髪の毛一本分くらい見えている状態になります。
ここで試しに、リードの位置をわざとちょっとずらして吹いてみてください。リードを下にずらすと すぐに音がカスカスになってとても吹けたものではなくなりますが、リードを上につけた場合、 リードが重く感じられるものの、大胆に動かしても吹けない事はないと思います。そして、ほんの 少しリードを動かしただけで、リードの印象が変わってしまうことも分かると思います。
もちろん普段から、私たちはリードの取り付けに対して重大な関心を寄せていますから、そう簡単に リードの取り付け位置が変わるとは思えません。しかしながら、リガチャーの締め方が不完全で ずれるとか、取り付け時の不注意で偶然意図しない位置につけてしまうことも考えられます。 そんなときに早とちりしてリードを削ってしまうと、今度は柔らかすぎてしまうのです。このとき、 私たちは「リードの位置が違っていたんだ」とは思わずに「しまった、削りすぎた」と思うのです。
これは、リードの取り付け位置を直せば改善されるはずなので、すぐに確かめることができます。

次に怪しいのは、リードやマウスピースの汚れです。
同じリードを長く吹いていると、フェイシング面にうっすらと白っぽいものが、マウスピースの 窓の形につくことがあります。また、同じようなものがマウスピースの内面に一面に つくことがあります。これらは、主に口に中の細かい食べ物のかすなどが、吹きつづけることで 少しずつ息に混じってくっついてくるものです。
これらのかすがついたまま放置すれば、不潔なのは当然なのですが、吹き心地にも大きな影響を 与える可能性を秘めています。リードのフェイシング面についたかすは、シードの振動を阻害する 方向に作用します。すると、吹き手にとってはリードが鳴りにくくなったと感じる原因になります。 また、マウスピースのかすも直接はリードに影響しませんが、鳴りを悪くする原因になることでは 大きな違いはありません。
この鳴りが悪くなった状態を、音抜けが悪くなったと感じれば、リードを削る気は起こらないのですが、 リードの硬さと感じてしまうと、リードを削れば解決しそうな気がしてきます。実際に削ってみると、 削ったときにフェイシングの汚れが取れなければ、汚れと削った分が相殺して程よくなるのですが、 次に何かのタイミングで汚れを取ったときに、そのバランスが崩れてしまいます。
この疑いを晴らすには、リードとマウスピースを掃除するしかありません。しかしどちらも繊細なので、 掃除には細心の注意が必要です。リードは濡れたティッシュやハンカチで軽くはさんで、ヒールを持って ゆっくり引き抜く操作を数回すればいいでしょう。マウスピースは、スワブを(できれば小さいもので) 本体側からティップに向かってゆっくりと数回通すぐらいしか方法がないように思いますが、 くれぐれも破損しないように気をつけてください。

この他に、楽器が壊れていたり、マウスピースと楽器本体の方向がずれていたり、アンブシュアが何かの 事情で普段と違っていたりすることで、音が鳴りにくく感じることがあります。その原因はさまざま なのですが、それをリードのせいと誤解することも考えられます。とはいえ、上の二つの例に比べると その可能性は低いでしょう。

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新しいリードが硬いとき

ときどき、新しいリードをちょっと吹いてみて、すぐに「このリードは硬い」といって削る人がいます。 確かに、新しいリードが自分に合わない場合、削ることで改善されそうであれば削って調整するのは 納得できることのように思えます。しかし、そんなすぐに削ってしまっていいのでしょうか。

まず注意してほしいのは、新しいリードは落ち着くまでその性質がどんどん変わっていく可能性を 秘めている、ということです。その変化の大きさや、落ち着くまでに時間は、リードのメーカーやモデル、 リードの扱い方によって変わってきますから、パターン化することは非常に困難です。
一度、新しいリードの性質を、3ヶ月ぐらいずっと追いかけてみてください。たとえ吹きにくくても、 一切手を入れないで慣らし、吹きつづけるのです。すると、そのリードがいいリードかどうかは別にして、 上に述べた性質の変化や、時間が経つと変化が落ち着くということが実感できるのではないでしょうか。
この現象を実体験として知っていれば、初めて吹いた新しいリードを、第一印象だけで削ってしまうと いうことがいかに無謀なことであるかが、納得できるのではないでしょうか。もちろん、変化のない リードだったり、もっと硬い方向へ変化していく可能性もあります。しかし、そうであることを 見極めてから、削って自分に合わせても、決して遅くはないはずです。

このように考えてみると、どのようなリードであれ、硬いからといって安易に削ってしまうのは、 自ら失敗を犯そうとしているものと、言うことができそうです。いろいろな角度から検討して、 充分納得してから初めてリードを削る、という選択肢をとる。たったそれだけのことで、リード調整の 失敗はかなり回避できるのではないでしょうか。

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