このページの最終更新:25th Nov 2002

クロスキイの調整法

クロスキイとその構造

クロスキイ正面 クラリネットには、多くのキイが取り付けられています。本来は、そのひとつひとつに 名前がついているのでしょうが、それを正確に紹介した文献などはあまり見かけません。 たいていは、それぞれの教則本や資料ごとに、キイに名前や番号を振って対応しているようです。
クラ総研でも、その場その場でどのキイか分かるように記述していますが、今回話題とする 「クロスキイ」は、左写真に示す喉音の G/Fis で使用する、十字状に重なったキイの両者を 指します。個別のキイを示す時は、それぞれのキイを押した時に出る音を用いて、Gキイ/Fisキイ と称することにします。

クロスキイ調整ネジ側面 さて、このクロスキイは、どのような構造になっているのでしょうか。
まず、Fisを出すときを考えます。運指上はFisキイのみを押しますが、Fisキイが押される ことによって、Gキイをはさんで反対側にあるタンポが上昇し、トーンホールが開きます。 このとき、GキイはGキイを故意に押さない限り動くことはありません。
次に、Gをだす時はどうでしょうか。運指上はGキイのみを押せばよいことになっていますが、 Gキイが押されることによって、Fisキイをはさんで上側にあるタンポが上昇します。それと 同時に、GキイがFisキイを押し上げるような構造になっていますので、Fisキイも動き、 Fisキイについたタンポも上昇するのです。

この、GキイがFisキイを押し上げる部分をよくみてみると、写真のようにキイ同士が 直接あたっているのではなく、当たるべき部分にネジがついているのが分かります。 これは、上でみたクロスキイの動きを実現するために、微調整が必要なためです。 では、どのような微調整が必要ななってくるのでしょうか。

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極端にネジを動かしてみると

ねじ込みすぎ 抜きすぎ キイ調整をどうすればよいかを考えるために、このネジを極端に動かすとどうなって しまうのかをみてみましょう。
左の2つの写真は、ネジを一杯までねじ込んだ状態と、逆に抜いた状態です。左の写真では ネジがFisキイを押し上げる状態になってしまい、キイを押していないにも関わらず Fisキイのタンポは開いてしまっています。右の写真ではGキイを指で押しているのでが、 GキイがFisキイに触れることができず、Fisキイのタンポは閉じたままです。

この写真はいずれも極端な状態なので、はっきりとおかしいということが分かりますが、 ねじ込み量の狂いが少ししかない場合、目で見ても判らない場合があります。それでも、Fisキイが ふさぎきれていない場合は、スクリームが頻発するなど、演奏に深刻な影響があります。逆に Fisキイが充分開かない場合は、Gの音のピッチに影響がでる可能性があります。
従って、Gキイを押さない状態でFisキイが完全にふさがり、なおかつGキイを押した時に Fisキイが充分開くように、ネジを調整する必要があるのです。

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クロスキイ調整の目安

ねじ込み量の確認方法 では、クロスキイの調整はどのようにすればよいのでしょうか。ひとつのやり方は、 まずネジを少し緩めておいて、徐々に締めていくという方法です。このとき むやみに締めれば、上でみたようにタンポがきちんとトーンホールを塞がなくなってしまいます。 そこで、左の写真のようにFisキイを指などで固定しながらGキイを押し、Gキイがほんのわずかに 動く状態でネジの締め込みをやめるのです。こうすると、GキイがFisキイに押し上げられる ことがなく、かつ、Fisキイも充分に開くことができるようになります。
理想的には、Gキイが動き出す瞬間にFisキイも動き始めることができれば、Fisキイの開き方は 最大になるのですが、そのようにネジを調整するのはかなり困難です。それは、写真の状態で Gキイが動かない場合、Fisキイが押し上げられているかどうかを確認することができないからです。

ときどき「ネジはすべて目一杯まで締めるもの」と思っている方がおられますが、クロスキイの 調整用ネジはその原則に当てはまりません。また、バスクラなどのジョイント部分にも、似たような 構造が採用されていることがありますが、これも同じことです。キイを曲げるような調整は 私達には困難ですが、このネジの調整ぐらいはできるようになったほうがよいのかもしれません。

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