このページの最終更新:22th Mar 2003

コルクグリス論

グリスを塗る目的

クラリネットのジョイント部分には、コルクが巻かれています。このコルクは ジョイントの上下部分をスムーズにつなぎ、なおかつ演奏中に抜けないように 保持する働きがあります。
私たちは、楽器の手入れの一環としてこのコルクにグリスを塗るように 薦められています。しかしよく考えてみると、その頻度や塗り方(塗る量など)に 関してさまざまな説がありますし、実際まわりを見渡してみると、人によって それこそ千差万別な塗り方になっています。

では、まずはなぜグリスを塗るのか、ということから考えてみましょう。 新しいコルクをそのままの状態でつなごうとすると、確かにつなぐことはできますが きつ過ぎてつなぎにくかったりします。これは、使用するにつれてコルクが多少 へたることを考慮して太目に巻いてあることも一因ですが、コルクと相手の 管体が直接あたる部分が、つなぐときに抵抗になっているのもまた大きな要素です。
このようなとき、グリスを塗ることでコルクと管体の間の摩擦を軽減することができます。 といっても、コルクグリスは金管楽器のスライド部分に塗るオイルとは 根本的に役目が異なります。スライドオイルは、スライドの隙間にあって こすれあう金属同士を保護するように働きますが、コルクグリスにはその効果は あまりありません。コルクグリスは、コルクの柔軟性を引き出すことで、結果的に スムーズにつなぐことができるのです。

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適量を守らないと

たまに、コルクグリスをたっぷり塗りつけて、その結果楽器を組んだときに ジョイントからグリスがはみ出してしまっている人がいます。逆に、何年も 塗っていない、という人もいたりします。それでも大丈夫なのでしょうか。
まず注意しなければならないのは、本来はコルクに油分を塗るのは、コルクにとって あまり望ましいことではない、ということです。これはコルクに限らず木材一般に いえることです。木材は周りの環境に合わせて水分を放出・吸収していますが、 表面の余分な油分はそれを妨げます。ニス塗りのように完全に遮断する場合のほかは この呼吸を妨げないほうがよいのです。そう考えると、たっぷりとグリスを塗っても 直接摩擦を軽減する効果は弱いので、あまりいいことはなさそうです。

では、まったく塗らないとどうなるでしょうか。考えられる弊害は、コルクが だんだん劣化してしまうことです。コルクが何らかの理由で硬くなっているときに 無理につなごうとすると、コルクの表面に強い力がかかります。コルクが硬いと いうことは、柔軟性を失っているということですので、強い力を繰り返し受けることに よって、ちぎれてしまうなどしてボロボロになってしまいます。
もちろん、硬いコルクが必ずボロボロになるわけではなく、コルク自身が硬くても つなぐときに極端な力がかからなければ、問題ないこともあります。逆に 極端に柔らかいときや、適度な硬さでもあまりに強い力を受ければ、痛んでしまいます。

結局のところ、コルクグリスを毎日塗る必然性はなく、つなぎにくいときや 適当な間隔をおいてごく薄く塗る、という無難な方法が残ってきます。とはいえ 楽器の状態も、使用頻度も千差万別です。グリスの塗る本来の目的や 利点、弊害をひととおり知った上で、自分の楽器に一番適当な方法を取る必要が あるのではないでしょうか。

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